WHO(世界保健機構)は11日、新型インフルエンザが南半球で拡大していることを受け緊急委員会を開き、警戒レベルを最高の「フェーズ6」への引き上げを宣言した。インフルエンザによる同宣言は、1968年の「香港風邪」以来、約41年ぶりとなる。また、今後1~2年間は世界規模での流行が続き、終息には3~4年間を要するとの見解も示された。
ただし、毒性に変化がないこと等から国家間の移動制限等は実施せず、日本政府も現行の警戒体制を続ける方針だ。今後は、秋季頃に予測されている第二波への備えが急務となる。
現地時間で28日2時25分(日本時間で17時25分)頃、中米・ホンジュラスの北部・ラセイバの沖合130キロの地点で、マグニチュード7.1、震源の深さ10キロの地震が発生した。この地震により、震源地に近い地域では学校等への損壊や橋の中央部が崩壊する等の被害が確認されている。また、数十名の死傷者が発生しているとの情報もあり、事態が明確になるにつれて被害が拡大する可能性もある。
ホンジュラスはカリブ海に面する共和国で、バナナやコーヒー豆、繊維製品産業が盛んである。また、世界遺産のマヤ文明も国内に有している。
発覚から間もなく1ヶ月が経過する新型インフルエンザは、未だ拡大を続けている。国内では、新たに東京都・神奈川県・埼玉県で感染者が確認され、本日正午現在で302名を数えた。
一方で、日本政府は同ウイルスが弱毒性であり季節性のものとほぼ同じ対処ができることから、今後の方針を ①さらなる拡大の防止 ②感染によって重篤に陥る可能性のある人々への感染防止 に重点をおき、航空機の機内検疫や停留処置を近く中止することを発表した。
また、WHO(世界保健機構)も警戒レベル6への引き上げ基準を、日本や英国の感染状況から世界的な感染状況へと視点を移行すると発表した。
20日現在、国内の新型インフルエンザ感染者数は238名に達し、新たに滋賀県でも感染が確認された。保育園の休園による家庭への負担や観光等の屋外にでることが多い商業種への影響も広がっている。また、インターネットではタミフルやマスクが通常の数倍の価格で取引されている事態の報告もあり、長期化による悪影響が懸念されている。 政府は水際対策から国内医療体制に対策の重点を置くことを発表しており、個人での予防姿勢もより重要になりそうだ。
16日に確認された国内の二次感染は拡大を続け、18日15時現在で130名に達した。主に学生を中心として広まりをみせており、感染が確認された兵庫県や大阪府では、休校や今月中に予定されていた修学旅行の中止等、影響が出ている。また、各種企業でもマスクの装着義務づけや国内出張の見合わせ等の対策に追われた。
なお、WHO(世界保健機構)は現時点での日本の感染を「学校に関連したもので広範囲の感染拡大は確認されていない」との見解を示した。しかし、今後の推移次第では最高警戒レベルへの移行もあり得ると見られている。
新型インフルエンザのパンデミックを前にして災害ボランティアの活動をよびかける
2009年5月8日
災害救援ボランティア推進委員会事務局長 澤野次郎
WHO(世界保健機構)は、新型インフルエンザの警戒水準を4月30日(日本時間)にフェイズ5に引き上げる声明を発表したが、週明けにもフェイズ6に引き上げ、パンデミック宣言するとのを見方が強まっている。まだ日本国内において感染者は出ていないが、感染者がいつ発生してもおかしくない状況にあることに変わりはない。
災害救援ボランティア推進委員会は災害救援を考える際に大規模地震を重視してきたが、それは社会に対する被害の程度を考慮してのことであり、災害救援を大規模地震に限定するものではない。
今から90年前に発生したスペイン・インフルエンザの大流行では、世界で2千万人から5千万人、日本でも38万人から50万人の死亡者が出たと推定されている。もちろん今日は国際協力もあり、対策も進展しているので過去と単純に比較するものではないが、対策を怠れば被害が甚大になることは間違いない。
以上のように今回の新型インフルエンザの大流行を考えた場合に、社会に対する大きな被害が生じることが想定される。被害の規模からみれば、これは大規模災害の発生と同じことであり、わが身わが家族と近隣住民を守るために災害ボランティアの活動が必要とされる。
私たちがパンデミックの段階を想定して提唱するボランティア活動は誰もができる生活支援活動であり、資格と訓練が必要となる専門性が高い医療支援活動ではない。
それではどのような生活支援活動が必要とされるのだろうか。パンデミックの段階に入ると感染拡大を防ぐために人と人の接触を可能な限りしないことが求められる。まず臨時休校等により子供たちが一定期間、自宅待機になる可能性が高い。大人も臨時休暇で自宅待機する可能性も出てくる。高齢者世帯等も自宅待機となる。
そうした事態を想定し、次ぎの活動をよびかける。
一、新型インフルエンザに関する正しい知識と対応の学習。
一、一定期間の自宅待機のための準備。(一定期間の長さは各人で考える)
一、自宅待機時における近隣及び地域の協力体制の構築。
このよびかけは過剰と受け止められるかもしれない。しかし、この活動はわが身わが家族の命を守るための自衛的な活動であり、近隣の助け合いの活動である。また大地震発生時における対応とも共通する部分がある活動でもある。
新型インフルエンザのパンデミックが現実的なものになる今日の事態を前にして、災害ボランティアのリーダーの皆さんに創意工夫ある活動を呼びかける。
以 上
「インフルエンザA」の感染者は、7日正午現在で2,113人に達し、ハワイ等を含む24の国や地域に拡大した。WHO(世界保健機関)では各国の感染状況を監視し、警戒レベル6への移行も引き続き視野に入れている。
日本国内では「感染の疑い」が相次いだものの、依然新型のウイルスは確認されていない。その一方で、発熱した患者の診察を医療機関が拒否する事例が90件余り報告されたことに対し、厚生労働省は判断の具体的な指針を通知する等の対策に乗り出している。
WHO(世界保健機関)は日本時間で30日午前5時に、新型インフルエンザへの警戒をレベル5、かなりの数の人-人感染の証拠がある引き上げ、世界各国に警戒と対策を呼びかけた。
WHO(世界保健機関)は日本時間で27日深夜、メキシコに端を発した新型インフルエンザへの警戒を「人から人への感染が確認され、小集団が感染」とする「レベル4」への引き上げを宣言した。同国では感染によって死亡した疑いのある人数が149名に達し、また、新たにロシアや韓国でも感染の疑いがある人が報告される等、拡大が続いている。その一方で、タミフル等の従来のインフルエンザ用医薬品によって感染から回復する人々が多いこともあり、渡航の全面禁止等の厳しい処置には至っていない。 (人数は28日正午現在)
日本政府も警戒レベルの引き上げを受けて官邸に対策室を設置し、新型用のワクチン開発・生産を優先する等の対策を発表した。成田空港等の国際便が乗り入れる空港では、サーモグラフィ・カメラで利用者の体温をチェックする等、検疫が強化されている。
23日夜、メキシコ政府の保健相はテレビ放送を通じて、国内で新型インフルエンザが発生したとする声明を発表した。これにより同国では、学校の休校や劇場等の大衆施設の閉鎖、マスクやタミフル等の医療品が売り切れる等の事態となっている。WHO(世界保健機関)によると、メキシコで感染による死亡の疑いがある人数は103名に達した。
また、メキシコへの渡航によるものとみられる感染の疑いが、フランスやイスラエル等数ヶ国にわたり報告されている。隣接するアメリカでは緊急事態宣言が発せられ、国内で5つの州・計20名の感染を確認した。 (人数は27日正午現在)